「技能実習制度」をめぐる議論の問題点

NHK「技能実習制度を廃止 新制度へ移行を」政府の有識者会議(2023年4月10日)

「会議では、委員から『技能実習生は国際貢献に大きな役割を果たしている』『中小企業にとって受け入れは必須だ』などと存続を求める声が挙がる」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230410/k10014033941000.html

人材育成(国際貢献活動)人材確保(人手不足対応)が、当然両立しているかのような書き振りですが、大きな違和感を感じます。

この曖昧さ、中途半端な感じが、技能実習制度における数々の問題のベースになっていると思います。

両立が難しいものを建前と実質に分けることによって、両立しているかのような体裁を整えるのではなく、真正面から外国人材を受け入れる制度を再構築する必要があります。

なお、具体的に有識者会議の「最終報告書の取りまとめに向けた論点とたたき台(提言部分)に関する委員意見一覧」には――

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 人権尊重は大前提の上、技能実習制度については、人づくりによる国際貢献と、現実的な人手不足の対応という、両方の役割を果たす制度として、また、特定技能制度へのエントリーステップとなる制度として、何らかの形で存続させるべき。

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 技能実習制度は、人材育成人材確保二つの役割を果たしており、この二つの目的を持つ仕組みとして見直し、存続をしていくのが一つの方向である。また、人材育成と人材確保の両方の役割を持つ技能実習制度と特定技能制度を一連の仕組みとして制度の見直しを図っていく必要がある。

最終報告書の取りまとめに向けた論点とたたき台(提言部分)に関する委員意見一覧 ※強調は引用者による

人材育成(国際貢献活動)人材確保(人手不足対応)が、当然のように両立する意見が堂々と記載されています。

しかも、それらが、少数意見ではなく、多くの委員の共通認識になっているかのように報告書全体から読み取れます。

参考文献

近藤秀将著『アインが見た、碧い空。: あなたの知らないベトナム技能実習生の物語』